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≪夜道は不審者に気をつけて | HOME | ツッキーのムーンナイトダイアリー_1学期編_≫ 2011.06.02 ThuSCHOOL BOYS外伝 ~友 過去編~
~はじめに~
蒼様より頂きました。 友くんの過去のお話です。 シリアスな展開です。 どうぞお楽しみ下さい。 --------------降りしきる雨の中、黒い列に紛れて涙を流していた君を見て、 僕は強い男になろうと決心した--------------- 「お父さんが死んだ」 死因は車同士の接触事故 会社からの帰路についてから暫くしての突然の出来事だったらしい。 俺は母からそれを告げられた時、自分自身の耳を疑った。 ・・・・・・お父さんが死んだ・・・? ハハッ 何言ってんのお母さんッ?? 今朝まであんなに元気だったじゃんッ! お父さんが死んだ・・・?? はぁ? そんな馬鹿な事があってたまるかよッ! ・・・・・・・・ 「嘘だろ・・・・?」 友は、ようやく状況を飲み込めたらしく、彼の表情から苦笑いさえも消えた。 手や顔からは汗が流れ、彼の呼吸は荒くなる そして何かが弾けた様に正気を失った 「ねぇ!!!誰か嘘だって言ってよ!!!!ねえッ!!!!!!!」 あの日、俺の中の何かが消えてしまった気がした。 ---------------------SCHOOL BOYS外伝 ~友 過去編~ 数年後 「じゃあ、お母さんはまたしばらくは帰ってこられないけれど、友、元気にしているんだよ。火だけには気をつけてね。」 「うん。わかった!演奏会がんばってね、お母さん! いってらっしゃい~!」 ガシャン 家中に、玄関のドアの閉まる音だけが鳴り響く ・・・・・・・・ 俺の名前は森海友。小学六年生。割と落ち着いた性格だとよく言われるけど、どこにでも居そうな普通の子供だと思う。 数年前にお父さんを事故で亡くして、今はお母さんと二人で暮らしている。 だけどお母さんが今日から、オーストリアで開かれるピアノの演奏会の国内ツアーに出演するため、しばらくの間向こうで滞在することになる 練習も兼ねて滞在するため、しばらくの間は家に帰ってこられない。 だから、俺は今日からこの家で一人で暮らすことになる。 暁が終わろうとしている時刻、 友はまだ少し眠たそうな顔をしていながらも、朝早くから笑顔で母の見送りをした後、奥にある自分の部屋へと戻る。 朝の光がカーテンから差し込んでいるだけの薄暗い彼の部屋の中には、まだ読みかけの漫画や、お菓子のゴミやペットボトル、学校の教科書やノートがあちらこちらに散らばっている。 そういえば、昨日の夜の俺はやけにお菓子やジュースを暴飲暴食していたような気がする そしてこれらを捨てずにそのまま寝ちゃったんだっけ・・・ 何故だか今さら片付ける気になれない 俺は、そこに何もなかったかのようにそれらを通り過ぎ、奥にあるまだ暖かいベッドに体を乗せ、ゆっくりと寝転ぶ。 そして目を開けたまま、すうっと大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。 「......今日からまた一人か......」 他に誰もいない空間の中で、一人そう呟く。 その一方で、俺は何かが閃いた様に色々と思考を巡らせる。 ......あれ? でもよくよく考えてみれば、一人暮らしって自由じゃん......! 何時に帰ってきてもいいし、どれだけ漫画を読んでも怒られない。 料理は自分の好きな物ばかり作れるし、いつもはお母さんが弾いているピアノも使い放題! なーんだっ! 良い事だらけじゃんっ!! ふふふーっ これからどんな事をしよっかな~っ なんだかたのしみだなぁ~!! ・・・・・・・・・・・・・・・ 「静かだなあ.......」 自分を鼓舞するかの様に無理やり高めた期待の念が静けさによって殺されていく 楽しい事を考える事によって自らの孤独を再確認する それは別に今回に限った事ではなかったけど。 俺はこの家が嫌いだ 何故だろう この場所に居るだけでなんだか、、、、心がぎゅっと締め付けられるような感覚に陥ってしまうんだ お母さんが家にいない事だって今までも何度かあったはずなのに はぁ・・・・ ほんと、一体どうしちゃったんだろ俺・・・・・ 思わず様々な雑念を巡らせてしまう 「・・・・・・・・・・考えても仕方がない・・・・・・少し寝よう。 まだ学校まで時間があることだし・・・」 ・・・いや、訂正。 考えても仕方がないんじゃない 何も考えたくなかった 寝てしまえばこんな気持ちも少しは軽減されるだろう そうだ。寝てこんな気持ちも忘れてしまおう 俺は瞼をゆっくりと閉じる ・・・・・・ 何も考えるな 何も考えるな 大丈夫。大丈夫だ。 ・・・・・ 強引に自らを落ち着かせた俺は、もう一度深い眠りにつこうとしていた しかしその時、、、 ----------ピンポーンッ! 突然のチャイムの音が俺の鼓膜に突き刺さる びっくりして俺はベットから飛び上がった ......誰かが来たようだ 「・・・ったく・・・誰だよぉ・・・・こんな朝早くに・・・・」 早朝の来客に不満そうな声を上げながら俺はチャイムの鳴った玄関の方へと足を運ばせる。 ガチャッ 「......はーい。 お!しのぶじゃん!おはよ!」 「友、おはよう。」 家の外で立っていたのは、見覚えのありすぎる、俺より身長の低い小柄な少年だった。 彼の名前は綾瀬しのぶ 俺と同じマンションに住んでいる俺の幼馴染だ。 今は同じ小学校に通っていて、ほぼ毎朝一緒に登校している。 普段も、毎朝登校前にしのぶが俺の家の前まで迎えに来てくれるのだが、何故か今日はいつもより早く迎えに来てくれた。 「今日はどうしてこんなに早いの?」 「だって友、今日から一人暮らしでしょ?ちゃんと朝一人で起きれるかなと思って」 「ば、ばかにすんなよっ!俺はもう子供じゃないんだぞおっ!」 「はいはい。でもちゃんとしっかり一人で起きれたみたいだね」 「う、うん・・・」 ・・・・・・さっき二度寝しようとしていたなんて言えない・・・ 「まだ学校まで時間はあることだし、少し家に上がってもいい?」 「うん!いいよ~!」 「お邪魔します。」 いつも一緒に登校する時間までしのぶが俺ん家に上がることになった。 「よくよく考えてみれば、しのぶが俺ん家に上がるのって久しぶりだよねー」 「確かにそうだね。ここ最近は空手の練習や試合で忙しかったから。」 「なるほどねー...... いやー、それにしてもしのぶが数年前に空手をやり始めたって聞いた時はビックリしたよー。格闘技をやるイメージが全然なかったもん」 「うん。それはよく言われる...」 「しかもそのやり始めた理由ってのが、東斗の拳のケンジロウに憧れたからっていうね。 実は、たまに下の階から聞こえてくるんだよね。彼の必殺技を叫ぶしのぶの声が(笑)」 「!???? き、聞こえていたのあれ!!!?/////」 先ほどまで冷静沈着だったしのぶの態度が一変して頓狂な声をあげる その上、彼の顔には若干の赤らみを帯びているのが目に見える程でよく分かる 「べ、別に僕はただ単純に強い男になりたかっただけだよ...」 「またまたぁー。全く素直じゃないなぁー」 「と、友だけには言われたくない...」 「それとも他に何か強くなりたい理由があったりするのかな~?」 「......内緒。」 「何だよそれー!(笑)」 そのようなたわいもない話をしながら、俺たち二人は家の奥にある俺の部屋へと入る。 しかし、俺の部屋に足を踏み入れた瞬間、しのぶの表情が一変する 「・・・・・な、何これ!?」 俺の部屋の様子を見たしのぶが絶句した 「どしたの?」 しのぶが何故驚きの声を上げたのかよく分からず思わず聞き返す 「・・・どうしたのじゃないでしょ友っ! 何この部屋っ!」 しのぶは荒げな声でそう言いながら、自身の人指し指を俺の部屋に指す ...あー...... そういえば俺の部屋はごみ屋敷の如く荒れていたんだっけ......すっかり忘れてた ゴミやら生活必需品やら様々な物が無造作にあちらこちらに散らばっている 真面目で几帳面なしのぶが、傍から観たら異様であるこの光景を見逃すわけが無いのも当然だ 「友っ!!散らかしたらキレイに片付けないと駄目でしょ!!!」 「・・・分かってるって。」 「分かっているならどうして直ぐにやらなかったの!?普通こんなの誰が見たっておかしいって言うよっ!!」 「・・・・・・」 ・・・相変わらずうるさいなあ 俺はしのぶのこういう所が嫌いだ 今みたいに時々、俺の生活態度についてあれこれ口出しをした上、説教をしてくる 俺がどう振舞っていようとしのぶには関係ないだろ!! だがしかし、これ以上彼にあれこれ言われるのも嫌だし、面倒くさい 「・・・俺が悪かった。ごめん。片付けるよ。」 俺はとりあえず彼の機嫌を取るためにしのぶにそう言い放ち、この目の前に広がるゴミ屋敷を掃除し始める 「・・・仕方ない。僕も手伝うよ。」 そう言ってしのぶは俺とともに部屋を掃除し始める ・・・掃除をしている間に時間が刻々と過ぎていった すでに陽は東の山から姿を完全に露にしていた 時刻はそろそろいつもの登校時間を迎えようとしていた 「......ふ~疲れたあぁぁあああー 大分キレイになったなぁ~」 「そうだね。キレイにすると気持ちいいもんでしょ?」 「うん。まあね・・・今日は疲れたからもう学校行きたくないや・・・」 「友、ワガママ言わない。さ、準備するよ。」 「えー....」 俺はしのぶに半強制的に学校の準備をさせられ、彼に引きずられるように家を出た ------------------------------------------------------ キーンコーンカーンコーン チャイムの音が授業の終わりを告げる 四時間目の授業が終わり、これから給食の時間だ お母さんがオーストリアへ出発してから一ヶ月が過ぎた あれからもしのぶとは毎朝一緒に登校している しのぶは基本的に無口で寡黙な性格なため、普段は俺から話を振って会話を弾ませていた。しかしここ数日は、一緒に登校しているにもかかわらず、ほとんど言葉を交わしていない。 仲が悪くなったという訳では決して無く、俺が話す気分になれないのだ 俺自身が言うのも何だが、その理由は俺もよくわからない 何故だか......そんな気分になれないのだ それは話す時だけに限った事ではない。 何をするにしてもやる気になれないのだ しかし、そのことをしのぶ自身に相談して心配させるわけにもいかない ほんと、どうしちゃったんだろなぁ俺...... そんなしのぶは今教室にいない。 彼は今週、給食の準備をする当番に当たっているため、今丁度彼は別の部屋でその準備をしているところだ 俺の学校では「ランチルーム」という大きな部屋で、全校生徒が集まって一斉に昼食を取るのだ。 そのため、給食当番の子たちは四時間目終了後ランチルームへ急いで移動し、全校生徒や先生方のための給食の準備をしなければならないのだ 今週、給食当番に当たっていない俺はこの時、教室の自分の席に座りボーッと黒板を眺めていた 誰とも話をせず、こうした自分一人だけの世界に浸れるというのも、何ともいえないほど心地いいものだ しかし、俺がそんな心地よい時間を過ごしている時突然、担任の先生が俺の席に来た。 一体どうしたのだろうか? 「森海君ちょっといい?」 「はぁ...?何でしょうか?」 先生に連れられて俺は教室の外の廊下に出る 先生が人気の少ない場所で突然立ち止まったかと思うと、自身の鞄から生徒の名簿が羅列されている紙を取り出して俺に見せた その紙の上方には、大きな文字で「宿題」と書かれていた その文字の下には表があり、一番左の空欄の中には、上からあいうえお順、男女順で俺のクラスの全生徒の名前が羅列されている 各生徒の名前の右にある数多くの空欄には○、×、△の記号で埋め尽くされている 先生が「森海 友」と書かれてある欄を指で指し、そのまま指を右へとゆっくりとなぞってみせた 先生がなぞっていった部分を目で追うと、初めの方は○、×、時たま△の記号があまり偏りが無く書き記されていた。 しかし、先生の指をしばらく辿って行くと、ある空欄から○や△の記号が一切見当たらなくなっていた その代わりにそこに書き記されていたのは大量の×の記号だけだった 「森海君、ここ最近、君の宿題の提出状況がよろしくないみたいだけど?一体どうしたの!?」 どうやら先生は俺のここ数日の宿題の提出状況に目をつけたらしい そういえばここ最近全く勉強に手をつけていなかったなぁ... もともと勉強は嫌いだったけど、最低限の事は今まではちゃんとやってきたはずなのに... 「・・・・・・」 「返事しなさい!君に何があったかは知らないけど、このままじゃ、たとえ学期末のテストで優秀な成績を収めたとしても通知表に影響してくるわよ!」 ・・・・・・そんなこと分かってる 分かっているんだよっ!.......だけどっ.....!! ・・・・・・ ・・・・あぁ...っもうっ!!・・・・うるさいなぁっ.....!! ・・・・本ッッ当にうるさいっ!! だがこのままでは分が悪い 俺はとりあえず彼女の機嫌を取るために、 「・・・はい。分かりました。以後気をつけます。ごめんなさい...」 と、先生にそう謝罪し、深くお辞儀をした すると彼女強張った表情が緩み、 「......分かった。じゃあこれからは頑張るのよっ! ......でも、君の家庭の事情は私もよく分かっている。大変だと思うし、辛い事もあるかもしれない。その気持ちは痛いほど分かるよ! でも私は森海君にはそこで挫けてしまう子にはなって欲しくないの。 もし何かあったら私でよかったら相談に乗るから。 頑張ろうね。森海君っ!」 と、落ち着いたイントネーションで俺に語りかけた ・・・・・・・・・・・ 「はい」 それは自分でもびっくりするほど虚ろな「はい」だった 俺の返事を聞いた先生は俺にニコッと微笑みかけ、給食当番の子の手伝いに戻っていった ・・・・・・・・ ・・・・・・・この気持ちは何なんだろう 怒りや悲しみ、失望、落胆などの様々な情が混ざり合ったこの気持ちは・・・・ ......何が「気持ちは痛いほど分かるよ」だよ..... .......はぁっ??????????????? ふざけるなッッッ!!!!!!!!!! そんな状況に陥ったことのないあんたに何が分かるっ!!! 偽善者ぶったアンタなんかに俺の気持ちが分かってたまるかよッッ!!!!!! クソヤロウ.....クソヤロウッ........クソヤロウッッッッ!!!!!!!!!!! ・・・・・・・・・・・ ・・・大丈夫。 俺は大丈夫だ。 大丈夫。 ダイジョウブ。 ダイジョウブ。 ダイジョウブ。 ダイジョウブ。 決してこの激情の念を言葉にしないように必死で自分を押し殺しながら俺は教室へと戻る 教室のドアを開き中に入る 何事も無かったかのように冷静に振舞いながら教室内をスタスタと歩く そして自分の席に座る すると今度は別の奴が俺の机へと近づいてきた まったくなんだよ...どいつもこいつも・・・・ そう思いながら顔を上げると、一人のクラスメートの奴が不気味な笑みを浮かべながら机に座った俺を見下ろしていた。 こいつの名前はリュウ。 そいつはクラスの中でも悪名高いイジメっ子で、いつも俺を含む他の子に対して嫌がらせをしてくる最低な奴だ。 そんな奴が今俺の方をじーっと見ている この時点で嫌な予感はしていた。 そしてそいつの口がゆっくりと開く 「おい森海~!お前さっき先生に宿題の事で怒られていただろ~! 実は俺さっきこっそり聞いていたんだ~!」 「!!?? 何だとっ!!」 「アハハッ 予想通りの反応だっ(笑) 俺、陰キャラでバカの癖に女子からモテモテのお前が気に入らなかったんだよ! そんなお前が謝っている姿、無様だったなァ(笑)」 「あ゛ッ!??」 ・・・・・・バカみたい。 しょうもない。 こんな奴に付き合っている時点で時間の無駄だよ だけど.......そんな奴に熱くなっちゃっている俺もバカみたい いつもならこんなやつ相手にしないのに..... 俺は何やってるんだよっ...... 「それによぉ、さっき先生が言っていた、お前ん家の家庭の事情ってやつ、さっき他の奴から色々聞いたんだけどさぁ、、、 お前、お父さんいないんだってな!!知らなかったぜっ(笑)」 !!!??????? こ、こいつ..... 「それに、お母さんは今海外に滞在中なんだって? それで今は一人で暮らしているらしいじゃん! あははははっ!まるで天涯孤独みてーじゃん!(笑)」 「!!????? .....う、うるさい!!お前には関係ないだろ!!!」 「まあまあっ そんな熱くなるなって(笑)」 「て、てめぇ....!」 "天涯孤独" リュウは俺を罵倒するためだけに何気なく使ったのかもしれない だからそこまで気にする必要はなかったのかもしれない だけど、今の俺の胸にはその「天涯孤独」という言葉 言葉が何故か鋭く突き刺さっていた そして、自分でも似つかわしくないと思うほど、この時の俺は明らかに冷静さを失っていた 「それにしてもお前の親も酷いよなァ~ お父さんは妻子を残して一人で逝っちまうし、お母さんはお前をたまに育児放棄しているし(笑)最低だよなァ~! お前、実は愛されてなかったんじゃねーの!? あはははははははははっ!」 プチンッ 俺の中の何かが切れた音がした 今まで溜まりに溜まっていた何かが爆発したかのように そう思った刹那の間に、俺はとっさに次の行動に移っていた ここから先の事は俺もよく覚えていない ---------------------------------------------------------- 「はぁ・・・はぁ・・・」 俺は息を切らしながら、顔を抑え蹲っているリュウを俺はしばらく見下すような目で見つめていた 「友!!!!!」 俺はとっさに俺の名を叫ぶ方に顔を向ける しのぶだった 給食当番を終えた彼が教室に戻ってきていたのだ 「友!!!これは一体どういうこと!??一体何があったの!?」 彼の言葉で、俺は正気を取り戻す あれっ?......俺は何をしたんだろ・・・・? ......そういえば、 何故俺の呼吸はこんなに荒くなっているんだろう? 何故こいつは鼻血を垂らしながら俺の真下で倒れているんだろう? 何故クラスメートのみんなは俺の方を見ているのだろう? そして、やっとの事で冷静さを取り戻した俺はやっと全てを悟る .......そうさっ!! 俺は俺を罵倒してきたこいつをぶん殴ってやったのさっ! 全力で殴ってやった 何度も殴ってやった 何度も 何度も 何度も 何度も 何度もっ!!!!! だが同時に自分がしてしまった事の愚かさに気づく ......あぁ...... ......俺は何て事をしてしまったんだ......こんなつもりじゃなかったのにっ........こんなつもりじゃなかったのにっっ!!!!! そして俺は再び正気を失う そして次の瞬間俺は教室を飛び出した 「と、友!!!待って!!!!」 後ろから俺を呼ぶしのぶの声が聞こえたが、そんなことは気にも留めなかった そんな場合じゃなかったのだ 理由などない 走った 俺はとにかく走った 何も考えず、息を切らしながら、ただひたすらに 再度正気を取り戻し、気づいた時には俺は学校を飛び出し、いつもの通学路の上を疲れた足を引きずりながら歩いていた 「友っ!!!!!!」 誰かが俺の名を叫んだ その方向へ振り向くと、しのぶが向こうから全力疾走で走って来るのが見えた ・・・相変わらず足が速い 運動神経の悪い俺は、運動神経抜群の彼にあっという間に追いつかれた 二人とも息を切らしながらお互いの顔を見つめあう 「友っ!一体どうしたっていうの! リュウをボロボロに殴った上にいきなり学校を飛び出すなんて!!」 「.........別に。」 「別にじゃないでしょ!それに、友は自分が何をしでかしたか分かってるの!? 一方的に人に対して暴力を振るうなんて最低だよ! ちゃんとそういう自覚を持っているの!?」 「......うるさいな。」 「....っ!?? う、うるさいってなんだよ!僕がどれだけ君の事を心配してるか分からないくせにっ!!」 そのしのぶの一言に俺は堪忍袋の緒が切れたように再び怒りを爆発させる 「うるさいっ!!!!!!!何が君の事を心配してただよっ!!!俺の気持ちなんて少しも理解していないくせにっ!! それに何でしのぶはいつもそんなに説教じみているんだよっ!! 一体いつしのぶは俺の指導者になったっ!!! 俺は今までしのぶのそういう所が気に入らなかったんだっ!!大体お前に俺のことなんて関係ないだろ!!! 頼むからもう放っておいてくれよっっ!!!!!!」 今まで溜まっていた俺のしのぶに対する不満が一気に解き放たれた気がした だがそれと同時に、しのぶに「そんなことを言ってしまったことに対して直ぐに後悔の念に襲われる ......しまった...な...なんて事を言ってしまったんだ俺はっ!! そんなこと言うつもりなんて微塵もなかったのにっ!!! 一方しのぶは俺の怒鳴りを聞いた瞬間、最初はかなり驚いた顔をしていたが、その後何かを悟ったようにいつもの冷静な表情に戻る だがその後、しのぶの顔は今までに見たこともないような鬼の様な形相に徐々に変貌していく そして、、、、、、 「................. ........ああ、そう............... ...........もう友なんて知らないっ!!!!!!!!!!!! 勝手にすればいいっ!!!!!!!!!!!!!!」 彼は俺にそう怒鳴って、俺から背を向ける 「し、しのぶっ!、ま、待ってっ!!」 俺の呼び止める声も届かないまま、彼は俺の元から学校の方へと足早に去っていった 俺はしばらくその姿を眺めていた 彼の小さな体が時間が経つにつれてより小さくなっていく しのぶの姿が完全に見えなくなると、まだ授業があるにも関わらず、俺は学校とは真逆の方向にある自分の家へと向かってトボトボと歩き始める。 家に帰って寝よう そして今日のことなんて全て忘れてしまおう .....くそっ...しのぶなんて.....しのぶなんて!!!!!!!!!! まだしのぶに対し、やるせない思いを抑えきれないまま俺は帰路に着く その時の帰路は何故かいつもより長く感じた気がした やっと我が家に着いた 家のドアの鍵を開ける ドアを開け、日課の手洗いうがいさえもせずに真っ直ぐ自分の部屋に向かう 正午の光がカーテンから差し込んでいるだけの薄暗い俺の部屋の中には、まだ読みかけの漫画や、空のお菓子のゴミやペットボトルなどがあちらこちらに散らばっている。 一ヶ月前にしのぶと一緒にキレイにしたはずの俺の部屋にその面影は全く無かった 俺は、そこに何もなかったかのようにそれらを通り過ぎ、奥にあるまだ暖かいベッドに体を乗せ、ゆっくりと寝転ぶ。 そして目を開けたまま、すうっと大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。 ・・・・・・・・・ "天涯孤独" リュウが今日俺に発したその言葉を思い出す お父さんは死んじゃった お母さんは生きているけど今は家にいない よくよく考えてみれば本当に天涯孤独みたいじゃん お母さんは何で家に帰ってこないんだろう 仕事の都合とはいえ、何でいつも俺を置いてどこかに行っちゃうんだろう ...俺なんかより仕事のほうが大事なんだろうなきっと.... ...もしかしたらリュウが言っていたように本当は俺の事なんかどうでもいいんじゃないか...? ...俺なんかいない方がお母さんも気が楽になっていいんじゃないか...!?? 俺なんて生まれてこないほうが良かったんじゃないかっ!!!!!??????? ・・・・・・・ 何も考えたくない ・・・・・・・ 何も考えるな 何も考えるな 大丈夫。大丈夫だ。 大丈夫さ・・・・・ きっと大丈夫さ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・嘘付け・・・ ・・・全然大丈夫なんかじゃないじゃん俺・・・・・・ 瞼から熱いものがこみ上げてくる そして目から大粒の雫がこぼれ落ちた ・・・・・・っ......!! 「・・・お父さんっ....何で死んじゃったんだよぅ....」 暗い部屋の中、俺はただベッドの上で枕に顔を当て、蹲ることしか出来ずにいた。 --------------------------------------------------------- あの日から一週間が経った 俺は不登校になった あれから俺は一度も学校に行っていない あれからしのぶは一度も俺の家に迎えに来ない あれから毎朝ほぼ同じ時刻に家の電話が鳴る 恐らく学校からかかってくるものだろう 俺は毎朝それを聞いて聞かぬフリをする 俺の部屋はよりいっそう汚くなっていった そろそろ目に余るほどの酷さになってきたが、今更片付ける気にもなれなかった 自炊をする気にもなれず、ここ最近はインスタント食品を食べてやり過ごしている 一日中家の中で暮らすという生活は大変退屈なものであった ただ好きなテレビ番組を見て、好きな漫画を見て、食べて、好きな音楽を聴いて、ネットサーフィンして、オナニーしてそのまま寝るだけの生活だ 初めのうちは楽しいものだったが一週間もそんな生活をすると流石に飽きてくる。 ・・・・今日は晴れていることだし、気分転換に久しぶりに外に出てみるか そう思い立った俺は、未だに放心状態ながらも、まず洗面所へ向かい顔を洗い歯を磨く。 それから着ていたパジャマを脱ぎ捨て、服とズボンに着替える。 ある程度のお金を詰め込んだ財布を鞄に入れ玄関に向かう そしてお気に入りの靴を履き、外の世界への扉を開ける まず俺は、長くなった髪の毛を切りに行きつけの美容室へ向かう 「今日はどうされますか?」と聞かれた。 今日はどのように切ってもらおうか考えていると、店の中に張られていた"カラーリング&カット"の文字が書かれているビラがたまたま俺の目に留まった ・・・・・これにするか 「じゃあ、あまり髪の毛の長さを変えずに、金髪にカラーリングしてください」 特に理由があってそうしたわけでもない。 ただ、なんとなく。 完成した新たな自分を鏡で見つめる さっきまでの黒髪の俺はそこにはどこにもいなかった 今日からこれが俺だ。 なんだか、姿だけではなく内面まで変化したみたいだ 心機一転した気がしてなんだか嬉しかった ・・・・・・さて、次はどこへ向かおうか 無計画のまま縦横無尽に町の中をゆっくりと歩き回る ・・・・・・ ・・・・・・あれ???ここどこだっけ?? いつの間にか、今まで見たことのない場所に来ていた ・・・どうやら俺は知らぬ間に道に迷ってしまっていたようだ そこで俺は携帯を開き、内蔵されている地図機能で自分の現在地を確認しながら歩く すると突然・・・ ---------ドンッ 俺の右肩辺りに前方からの衝撃が加わった 俺はバランスを崩し地面に倒れる 「痛っ!」 右ひざに焼けたような痛みが走る 足を擦り剥いてしまったようだ 「き、君大丈夫!??」 俺はその声のする方へと顔を向ける そこには20代くらいの男の人がいて、しゃがみながら俺に手を差し伸べていた どうやら俺は、携帯に集中しすぎて前方から歩いてきた人にぶつかってしまったようだ 「は、はい。大丈夫です...」 「君全然大丈夫じゃないじゃないか!足を擦り剥いているよ!」 そう言ってそのお兄さんは近くにあったベンチに俺を座らせた そしてその男性は自身の鞄から消毒液と絆創膏をとりだす。 「よしっ。これでもう大丈夫!いやー本当に悪かったねボク」 「いえいえ。こちらこそ前方不注意でぶつかってしまい、すいませんでした。」 その人はケントっていう名前らしい。 この付近に住んでいる会社員の方らしい 俺はこの後特に具体的な予定があるわけでもなかったから、しばらくケントさんとたわいも無い話で盛り上がったりしていた。 いろんな事を話してみて、なんだかすごく優しそうで温かみのある人柄だなあという印象を俺は持ちはじめた 「ふ~ん。なるほど~そうなんだ~(笑) ・・・・あれ?そういえば今日って平日だよね?学校はどうしたの??」 「・・・・・・・・」 俺の顔が深刻そうにみえたのか、 「俺でよければ話を聞くよ」 と、より親身になってそう言ってくれた この人なら俺の事を理解してくれるかも知れない 「じ、実は・・・・・」 俺はケントさんに一週間前の学校での出来事、そして両親の事について全てを話した ------------------------------------ 「・・・・・ということがあったんです。」 そう話し終えた。 すると突然、 その刹那の間に自分の体に何か覆いかぶさるような強い衝撃を感じた ケントさんが、俺の体を強く抱きしめていたんだ 「・・・えっ?お、お兄さん?」 突然の出来事に俺は動揺を隠せない しかし同時に俺はその温もりに浸り始めていた 「そんな辛い事があったんだね・・・・君は本当によく我慢したよ。 でも大丈夫。これからは俺が君を守ってあげる。」 ・・・・・・ ・・・・幸せだ。 自分の事をこんな風に思ってくれている人がいるなんて。 このままずっとこうしていたい。 もっとケントさんに抱きしめてもらいたい。 俺はそっと自分の顔をケントさんの胸に寄せ、蹲る。 すると突然ケントさんが、 「・・・・・・ちょっとここでこうしているのもなんだし・・・場所変える???」 と言ってきた この時点で彼の言いたいことは大方察した 俺は彼の胸の中でそっと小さく首を縦に動かし、それに従う ケントさんについていき、辿り着いた場所は近くのホテルだった そこに従業員はおらず、ケントさんが券売機のような物で手続きを済ませる そして俺たち二人は奥にある一室へと入っていった --------------- シャワーを浴び、タオルで体全体をきれいに拭き、くしで髪をとかし、ドライヤーで髪を乾かす 部屋でケントさんが待っている。急がなきゃ。 腰にタオルを巻いて俺は部屋へと戻る 彼は部屋の中にあるベッドに腰をかけたまま待っていた。 彼は何も言わずに俺をそっと抱きしめる ・・・暖かい こんなに人のぬくもりを感じたのはいつ振りだろうか なんだか・・・・すごく懐かしい感覚だ ・・・・・・・・・ ・・・・・お父さんっ・・・・ グスッ 自然と涙がこぼれる 「どうしたの?大丈夫?」 「ううん。大丈夫だよ。ちょっとお父さんの事を思い出しちゃって・・・」 「そっか・・・」 それから彼は俺にいろんな行為をしてくれた それだけでも俺は愛されている気がした そして彼が俺にしてくれたように、俺も彼に同じ事をする その後俺は彼に突かれて散々喘いだ それだけでも俺は愛されている気がした 二人の鼓動が脈を打つ 「ケントさん・・・」 「うん?」 「・・・・・俺の事・・・好き・・・?」 「ああ。もちろん大好きだよ。」 それの回答が聞けただけでも、 俺は幸せだった。 俺は本当に幸せだった。 --------------------------------------------------------- 数日後 今日も俺は学校に行かなかった その代わり、今日の夕方からケントさんと映画を観に行く約束をした 待ち合わせの時間まではまだ大分時間があるが、予定より早く準備が出来たため、今から家を出発しようと思っている所だ。 玄関のドアを開け、マンションの三階から階段を軽快なステップで駆け下りる。 しかし、二階へと差し掛かった瞬間に、偶然、予想だにしなかった人物と遭遇する。 しのぶだった。 彼は丁度学校から帰宅したところだったのだろうか 「あっ......しのぶ...」 声をかけたのは俺の方からだった 俺は自分でもびっくりするほど弱々しい声で話しかけていた 「友。久しぶり。元気にしてた....?」 「うん。まあ一応...」 「髪の毛、染めたんだね」 「うん....まあ一応...」 「随分と元気に階段を降りてきたもんだね。これからどこかに外出?」 「うん。...映画を見に行くんだ」 「一人で?」 「いや、最近知り合ったの男性の方と」 「さ、最近知り合った男性の方.....?」 しまった...思わず正直に口を滑らしてしまった... こんなこと言ったらどうせまた色々と質問攻めをされた挙句しつこく説教されるに違いない それにもう、、、しのぶには何も心配かけたくなかったし そう思って俺は戦々恐々していた しかし、彼の返事は意外なものだった 「あ、そう。じゃあ楽しんできて。」 その中身の無い返事を聞いて俺は若干拍子抜けしてしまった 俺は何も言わずにその場を去る しのぶがあんな返事をするなんて・・・ もう、俺の事なんてどうでもよくなちゃったのかな・・・・ 道中であれこれ雑念を抱いてしまう俺 ・・・・・・・・ ・・・・よくよく考えてみれば、 俺今までずっとしのぶに支えられてきたんだな・・・ お母さんがいないとき、同い年ながらもいつも俺の面倒を見てくれたのは、紛れもなく、しのぶだった。 よく頻繁に俺の家に遊びに来てもくれたし、 俺が何か過ちを犯したときにはいつも俺を叱ってくれた 感謝しても仕切れないくらいだよ なのに俺、、、この前しのぶにあんな酷いこと言っちゃった・・・ なんで俺は今まで気づかなかったんだろ 「大切なものは無くなってから気づく」というどこかで聞いたことがあるフレーズを思い出す。 そして、今更どうにもならない事を今になって後悔する ・・・・今度あったら素直に謝ろう ・・・・・・いや、もう無理かな・・・ たぶん嫌われちゃっただろうし・・・ ・・・・・・ .....べ、別にいいやっ...しのぶがいなくたって俺にはケントさんがいる! だから何も怖くない!もう俺は一人じゃない!! そう自分を無理やり鼓舞しながら俺は映画館へと向かう ---------------------------------------------------------- 待ち合わせ時間より30分早めに着いてしまった やっぱりまだケントさん来ていないや・・・ あと30分どうやって時間をつぶそうか・・・ ・・・・暇つぶしにこのあたりを散策でもするか そう思って俺はぶらぶらと再び歩き始める。 俺はいつの間にか、建物と建物の間の、日が当たらない人気の無い場所を歩いていた すると聞き覚えのある話し声が聞こえてきた この声はもしかして....! 俺はその会話主を確かめるべく物陰に隠れ、そっとその人の顔を覗く け、ケントさんだあああああ! 再び会えたことに対して俺の心は喜びの気持ちでいっぱいだった しかし、以前の彼とはどこか雰囲気が違う 右手にタバコを持ち、左手に携帯を持ちながらゲラゲラと大きな声で話す姿は、前回会った時の彼とはまるで別人みたいだった 一体何を話しているんだろう?? 俺はそっとその内容に耳を傾ける 「・・・それでさァー、そのショタにたまたまぶつかちゃった後に応急手当してあげたらさァ、なんとそいつがなついてきたんだよ! なんてツイてる事かっ!(笑) んでその後に、そいつが親や学校の事で色々と抱えていたもんだから、ちょっと優しくしてあげたら見事にホイホイ釣れちゃってさ!! あははははは(笑)」 ・・・・・え? ぶつかった? 応急手当? 親や学校の事で色々と抱えていた?? これもしかして・・・・・・・俺の話??? さらに彼の話は続く 「んでさ、そん時の映像があるからよ、もし良かったら高値で買い取ってやってもいいぞ(笑)それかこの映像をどこかに売りさばくのもいいかもな!こりゃー儲けもんだぜ!(笑)」 !??????????? 映像???売りさばく???? ど、どういうこと.....??? 混乱していた俺はまだこの人の言っている意味がよく解らなかった 頭を落ち着かせ、一つ一つを冷静に整理しなおす やがて俺は全てを悟り、この人に対して深い失望と怒り、そして深い悲しみの情が湧き上がってきた 「今日もさァ、これからそいつと映画見に行くんだけどさァ、その後にまた誘ってヤる予定だからよ、うまく撮れたらついでにそれも見せてやるよっ あははっ(笑) じゃーなーっ楽しみにしてなー(笑)」 彼は携帯電話を耳元から離した どうやら彼の通話が終わったみたいだ その瞬間、俺は隠れていた場所から起立し、自ら彼の前に無言で姿を現した 「!!???? や、やあ友くんじゃないかっ!ずいぶんと早い到着だねっっ!」 さっきの話が俺に聞こえていたかもしれないと彼は思ったのであろうか? 俺の姿を見た瞬間、不自然すぎるくらいおどけた声を上げる 「ケントさん。さっきの通話の話、まる聞こえだったよ。 とりあえず聞きたいことは山ほどあるんだけど........ ......どういうことなんだよっ!!!!!!ちゃんと説明しろよ!!!!!!!!!!」 俺が彼に向かって怒鳴ったその瞬間、彼はとっさに俺の首をつかみ、俺の口を手で封じた 「・・・ッッ!!!!」 「・・・・うるさいなー。静かにしろよこのガキ...周りに聞こえちまうだろーが... なぁ友くん。君の言いたいことはよーくわかるよ。 要するに僕の君への愛情は嘘だったんじゃないかって事だろ??? あはははははっ! その通りだよ!!!!!!出会ったときから最初ッから体目当てだったんだよ!! まんまと俺の作戦に引っかかってくれて有り難うっ!!!! まあ最初にお前が俺にぶつかってくれたのがきっかけだったがな(笑)」 !!!!!!!!!! ・・・・・・・ 何だろうこの気持ちは・・・・・ 様々な負の感情が湧き上がりすぎて言葉に出来ない それに、、、、、 俺は・・・・・・愛されていなかったんだな・・・ 「後は、金目当てかな。」 そう言うと彼は自身の鞄の中から撮影用カメラを取り出した 「実は前回ホテルに行った際に、君がシャワーを浴びている時にこっそり部屋に仕掛けて置いたんだよ。これが何を意味するか分かるよね.....?」 「・・・ッッ!!!?????」 「あーあ。ホントは映画を見た後に、良いムードにさせてまたホテルに誘うつもりだったのになぁー だがバレてしまった以上仕方が無い。作戦変更だな。 今から俺と一緒にホテルに来い! さもなくばこの映像をネット上にばら撒く!!」 「な、なんだと!??? ふ、ふざけるな!! け、警察に通報するぞ!!」 「いいのかな~そんなことしちゃって。もし警察に通報したら、俺みたいな見知らぬ男性と性的な関係を持ったことが、少なくとも君の友達、学校、そして海外のお母さんにも知られちゃうかもね~ みんながそれを聞いたら一体どう思うんだろうね? 君の居場所、無くなっちゃうかもよ?(笑) あはははははっ!」 「く、くそっ!!!」 俺はケントに殴りにかかろうとした 「おっとぉ!」 俺の殴りをケントが軽々しく素手で受け止める そして次の瞬間、 ケントの鋭い膝蹴りが俺のみぞおちに食らわす 「うぐっあああっ!!」 激しい痛みが体の神経を駆け巡る あまりの痛みに俺は地面に蹲ってしまった。 「バカだなあ...! 子供が大人に勝てるわけ無いじゃん!!(笑)」 激しい痛みのためか、視界がぐらつくような錯覚に陥ってきた く、苦しいっ....... 「あきらめろっ! もうお前は俺に付いてくるしかないんだよっ!」 ・・・・・・・ ・・・あはは。まじかよ..... どの選択肢をとっても俺の人生終わりじゃん.... もうどうすることも出来ないのか..... 光が見えないほどのどん底に叩き落されたような気分だった あははは......もう....泣く気にもなれないや...... 次の瞬間、 ケントの手が俺の胸グラを掴み、俺は無理やり起き上がらせられる だ、だれか.....助けて...... ・・・・・・ ...あれ....でも..... お父さんは死んじゃったし.... お母さんは海外だし.... しのぶは俺の事嫌いだし.... 学校のみんなは...... あはははははっ....来るわけ無いか.... そうじゃん.....俺には誰もいないじゃん.... ・・・・・・・・ もう....どうでもいいや.... 「さあ、おとなしく着いて来てもらおうか!!」 既にもうどうでもよくなった俺は、意識が遠のいていく中、ケントのその声に応じようとしていた その時、 「待てえええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!」 !!????? いきなり第三者の声が響き渡った 「友を放せっっ!!!!!!!友を傷つける奴は僕が絶対に許さないっっ!!!!!」 朦朧とした意識の中俺はゆっくりとその声の方へと顔を向ける そしてその人の姿を見ようと懸命に目を開ける その姿を見た瞬間、俺の目から大量の雫が零れ落ちた それは俺の全ての感情が溢れ出るかのように溢れ出して、それは一向に止まる気配を見せない 息を切らしながら必死で俺に向けてそう叫んだ彼 ど、どうしてっっ・・・・・・ どうして彼がここにっ・・・・ どうして彼が俺なんかのためにっ・・・・ そして俺の全ての思いを込め、嗚咽をあげながら彼の名前を全力で叫ぶ 「しのぶううううううううううううううっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!」 正義のヒーローの如く現れたしのぶの姿を見たケントが不快そうな声を上げる 「君は友君の友達かぁ~? 申し訳ないんだけど僕らは二人で大事な話をしているんだ。 だから邪魔しないんで欲しいんだけどぉ!」 「小学生をボロボロにした挙句胸グラを掴む事が大事な話なんですか?」 「うるさい! とにかく君には関係ない。早く帰れ!!」 「関係なくない!! お兄さん、いい加減友を放さないと、、、倒すよ?」 「倒す!??? 君何言ってんの(笑)(笑)(笑) 子供が大人に勝てるわけ無いでしょ!(笑)」 「しのぶ、無茶だ! やめろおお!!」 「友、大丈夫。心配しないで。僕が今すぐ助けるから。」 しのぶはそう言って俺に微かに微笑みかける するとその刹那の間にしのぶはケントの真下にすばやく移動した 「!!!???? こ、こいつっっ!!」 そして、しのぶの小さい体からは想像もつかないような鋭い正拳突きをケントに食らわせる -----ズンッッ 「ぐはああっっ!!」 しのぶの鋭い突きによって、鈍い音と共にケントがうめき声を上げた す、すごい.....っ!! しのぶの空手の実力はよく耳にしていた 県の大会で優勝を収めたという話も聞いたことがある しかしその実力を目の当たりにしたのは今回が初めてだった さっきの突きは素人の俺でも凄さが伝わってくるほどだった そしてさらにしのぶはそのまま大きく飛び上がり、ケントの後頭部に今度は強烈な回し蹴りを食らわせる 「痛あああっ!!!」 あまりの痛みと衝撃にケントは頭を抱え込み、地面に転げ落ちる。 俺の胸グラを掴んでいたケントの手が離れた その瞬間に俺はとっさに彼の元から離れる そして俺は、俺の弱みがたっぷり詰まっているその撮影用カメラを彼から奪い取り、地面に叩きつけた上、粉々に踏み潰した よしっ!これでもう大丈夫だっ!! 「!!!!?????? き、きさまああああああああああああああ!!! よくもおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 その一部始終を見ていたケントは、怒りの雄叫びを上げた そしてその矛先が、カメラをぶち壊した俺へと向く ケントは大きな握りこぶしを片手に、勢いよく俺に襲い掛かってきた よ、避けられないっっ!!! 俺は必死で顔を伏せることしか出来なかった 「と、友!!危ないっ!!!」 -------バシッ!!! ・・・・・・ ・・・・・あれ・・・? 当たっていないぞ・・・? 奴のパンチは確かに俺の方を向いていたはずなのに... 俺は伏せていた顔を恐る恐る上げる そこには衝撃の光景が広がっていた そのパンチで倒れこんだのは俺ではなかった しのぶだった 「し、しのぶっっ!!!!!! 何してるんだよお前っっ!!! 何で俺なんか庇ってんだよっ!!!」 彼は、俺が受けるはずだったパンチを自らを犠牲にして俺の代わりに受けていたのだ 「........と、友はっ、、、、、、、、、僕が守るっっっ!!!!!!!」 彼は傷つきながらも、そう叫ぶと同時にもう一度立ち上がった ....し、しのぶっ....... 今確信できるのは、彼が、他の誰でもなく、 俺を守ってくれているという事 俺のために危険を顧みず闘ってくれているという事 俺の事を本気で思ってくれているという事 それだけで俺は嬉しかった 俺は弱い。 しのぶみたいに強くない。闘えない。 そんな守られてばかりで何も出来ない自分に腹が立つ ......でも、そんな自分に今出来ること それは今俺の目の前にいるしのぶを応援してあげることだった 俺は自分の全精力を振り絞りながら叫ぶ 「しのぶうううううううううううううううううううううううっっ!!!! 頑張れええええええええええええええええええええええっっ!!!!」 俺のその叫びに反応したかのようにしのぶは、最後の力を振り絞って飛び上がる そして彼の最後の渾身のパンチをケントの顔面に打ち込む 「ぐおおおおおっっ!?」 ケントの体は大きく揺らぎ、再び彼は地面に倒れこんだ 「....やっ....やったぁしのぶっっ!!!!」 しばらくしてから、しのぶに敗れたケントは、 「くそっっ!!! お前ら覚えていやがれっっ!!!」 そう叫んでそのまま走って去っていった。 彼が去っていったあと、俺の足は自然としのぶの方へと運んでいった そして、俺は彼の体を思いっきり抱きしめた 「しのぶっっ!!!!ありがとうっっ!!!本当にありがとうっっ!!!」 「と、友.......苦しい.... でも......本当に良かった.....」 しのぶに再び会えて安心したのか、難が去って緊張が解けて安心したのか、 俺がその時再び嗚咽をあげていたというのは言うまでもない ----------------------------------------- 「それにしてもしのぶはよくこの場所が分かったねー」 「・・・・・・・・・・ ...友ごめん... 実は僕、、、さっき友とマンションで別れた後、友の話を不審に思ってこっそり後を付けてきたんだ。でも途中で友を見失っちゃって、、、だからここに助けに来るのも少し遅れちゃったんだっ......本当にごめん!! それに......本当は僕がマンションでその話を聞いた時点で友を留まらせれば良かったんだ....もしそうしていれば友を傷つけずに済んだかもしれないのにっ.....! .....だけど、以前友が学校を飛び出した日に喧嘩した事を思い出しちゃって......そういう忠告だとか説教をするような事は今の友にとって良くないことだって思っちゃったんだ..... 友!!本当にごめんなさいっ!!」 ・・・・・・何でお前が謝ってんだよ・・・・・謝らなきゃいけないのは俺の方だってのにっ!!! 「......何でしのぶが謝るのさ!!!!悪いのは全部俺だよっ!!! だってっ......だって俺はっっ.......!!!」 俺は気持ちを抑えきれなくなって、しのぶに全てを話した 今までずっと両親の事で悩んでいた事 学校で嫌なことが重なった結果リュウを殴ってしまった事 しのぶに嫌われたと思っていた事 温もりが欲しかった故にケントと体の関係を持ってしまった事 その際に動画を撮られ、不特定多数にばら撒かれそうになった事 そして、 自分は孤独な人間だと思っていた事 自分に生きている価値などないと思っていた事 その後何を言われようとそんなことは既にどうでも良かった 別にまたいつものように説教されてもいい ただ俺はしのぶに話さずにはいられなくなったのだ 俺は一つ一つをゆっくりと思い出しながら段階的に話していった 人に説明するのが苦手な俺の話は、きっとどこかあいまいで、決して分かりやすいとはいえないものだったであろう。 しかし、俺が全てを話し終える頃、今までそれを黙って聞いていたしのぶから鼻を何度もすする音が聞こえた すると次の瞬間、しのぶは俺の体を彼の方へ引き寄せ、自身の小さな腕を俺の背中へと回した。 「ちょっ..!? し、しのぶっ!??」 ・・・・・・これはデジャヴか? 以前にもこのような事があったような気がする ・・・そうだ、ケントだ。 ケントと初めて会った日に彼にこのようにされた記憶がある でも、今回のしのぶのこれは、 偽りなんかじゃないと確信できる しのぶのそれは強く、優しくて、そしてすごく温かい.... それは俺だからこそ分かるものだったのかもしれない 突然の出来事に俺は驚きを隠せない 「友.....そんなに沢山の辛い事.....ずっと一人で全部抱えていたの....?」 「・・・・・・」 彼の声は次第に嗚咽が混じるようになっていき、彼の瞳からは熱いものがキラリと光るのが見えた。 「友、ごめんねっ....本当にごめんねっ...僕がもっと早く気づいてあげればよかった....それなのに僕っ......友の辛い気持ちなんて分かりもせずに、いつも友に説教じみた事ばかり言ってしまってた....それが友の為なんだとずっと思ってた...... でも実際、僕は君に何もしてあげられなかったんだっっ!!むしろ僕は余計に君を苦しめていたんだっ!..... ごめん!ごめんね友っ!!本当にごめんねっ!!!」 「何言ってんのさしのぶ......実際君はいつも俺を助けてくれたじゃん...」 しのぶが泣きながら何度も俺に謝っているのを見て、俺はいたたまれない気持ちになり、いつの間にかもらい泣きをしてしまっていた。 俺はしのぶと共に再び嗚咽を上げながら話していたんだ 「でもね友っ...これだけは言っておきたい... ......何でも一人で抱え込まないでよっ!!! どーせ友のことだから、人に迷惑をかけたくないからとでも思っていたんでしょっ! 言っておくけどっ、僕は友が辛そうにしている顔を見るのが一番辛いんだよっ!! 友は僕にいくら迷惑かけてもらってもかまわないっ!! だから何でも僕に話してよっ!楽しいことも辛いことも悲しいこともっ! 友は決して一人なんかじゃないっ! 友には僕がついてるっ! 僕が友の生きる証になってみせるよっ!!!」 し、しのぶっ........... ・・・・・・・ 何故だろう 何故彼は今まで俺がずっと望んでいたであろう、欲していたであろうそんな言葉をかけてくれるのか そして、何故彼はその言葉を俺なんかのためにかけてくれるのか ・・・でも、今の俺にとってそんな解答など今更どうでもよかった 俺は間違っていた 一人で悩む必要など何処にもなかったんだ それに、 俺は一人じゃなかった 今まで近すぎて気づかなかった大切な存在がずっとそばにいたんだ 喜びも悲しみもしのぶと共に分かち合っていく事 これが俺の取るべき最良の選択だったのだ そして、徐々に込み上げてくる彼への感謝の気持ちが言葉になって表れる 「・・・しのぶ、ありがとうっ! こんな俺で良ければ...これからもよろしくねっ!」 「・・・何を今更...(笑) 僕たち親友でしょ。そんなの当たり前だよ。 ・・・・・・・・・・・・これからもよろしくねっ。友っ。」 俺たちはその後、談笑を交わしながら彼らの住むマンションへと帰宅していった その日、 突如目の前に現れた小さくて大きなヒーローに、俺は救われたんだ ------------------------------------------------------ 彼が俺の心情を察してくれたのだろうか、 その日、しのぶが俺の家に泊まりに来ることになった 二人がマンションに着いたころには既に外は真っ暗になっていた 俺たちが家に着いたとき、何故か家の中が明るかった 不審に思った俺は恐る恐る玄関のドアを開け、中に入る すると中からは思いもよらない、そして懐かしい人が現れた ・・・・・・お母さんだった。 俺の姿を見た彼女は、後ろにしのぶがいるにもかかわらず、何も言わずに帰ってきたばかりの俺を強く抱きしめた 彼女は俺を抱きしめながら、何度も「ごめんね、友」を繰り返し、泣き叫んだ 俺は暫くの間、彼女の懐かしく、そして暖かな温もりにしばらく浸っていた それにしても、何故お母さんが家にいるのだろうか? まだオーストリアでの演奏会の日程は全て終わっていないはずだ 理由を尋ねると、どうやら学校の担任の先生から、オーストリアにいるお母さんの元に直接電話があったらしく、その内容を聞いたお母さんがまだ公演期間中だったにもかかわらず、オーストリアから一時的に急いで飛んで帰ってきたらしい どうやら先生はここ最近の俺の心情を察してくれていたらしく、お母さんに俺の事について相談してくれたらしい その夜俺は、しのぶも交えて久しぶりに母と夕食をとり、三人で様々な談笑を交わしながら、有意義で温かな楽しいひと時を過ごした ------------------------------------------------------------ その日の夜 俺としのぶは風呂に入り、パジャマに着替え、歯を磨き、俺の部屋で就寝しようとしていた 俺は自分のベッドで、 しのぶは俺のベッドの隣に布団を敷いて寝ようとしていた所だった 「・・・・・ねえ、しのぶ・・・・」 「・・・・ん?友どうした?」 「・・・・・俺さ、お父さんが死んじゃってから、すごく悲しかったけど、それを乗り越えて強く生きなっきゃって思ってた。お母さんを守れるような強い男にならなきゃって思ってた。 お母さんも仕事の関係で家にいなくなることが多いから、自分の事は何もかも自分でやれるようにならなきゃって思ってた。 そのおかげで料理も洗濯も、家のことは全部自分で出来るようになった。 だからもう俺は、心配ないって。全部自分で出来るんだって。お母さんもそんな俺を見て、安心して海外に行けるようになったらしくて、、、俺はそんな自分が誇らしかった。 ・・・・・・でも ・・・・・・やっぱり俺は弱かった。 一人が嫌い。一人が怖い。誰かがそばにいてほしい。本当は誰かに甘えたい。 家に帰ってきた時、一人でこの暗い部屋にたどり着いてベッドに寝転ぶ、 そんな瞬間が大嫌いだった。 ・・・・・・でも そんな時いつもそばにいてくれたのはしのぶ、君だった」 「・・・友っ・・・・・・」 「・・・君は、毎朝俺の家まで俺をわざわざ迎えに来てくれた。 君は、毎日俺の話し相手になってくれた。 君は、俺が勉強に困っているときにはいつも優しく教えてくれた 君は、俺が喜んでいるときにはいつも優しく微笑んでくれた 君は、俺が過ちを犯したときにはいつも本気で怒ってくれた 君は、俺が悲しんでいるときにはいつも親身になって一緒に悲しんでくれた ・・・・・・全部、しのぶだったんだ ・・・・・・・ ・・・その、・・・・しのぶっ・・・・・・・ ・・・・そ、そっちに行ってもいいかな・・・・?」 「・・・・・うん・・・・」 今俺の部屋を映しているのは、カーテンの隙間から差し込んでいる淡い月の光だけだった 俺はそれだけを頼りに、今隣の布団で横になっているしのぶの存在を確認する そして、自分のベットから出し、しのぶが横になっている布団に身を寄せ、中に入る ・・・・・・ 俺たちはしばらく無言のまま暗闇の中、お互いの顔を見つめあう 今まであまり気に留めていなかったが、こういう状況になってみて初めて彼の美しさに改めて気が付いた気がする 月夜に照らされている彼の顔は、今までに見たことないほど綺麗だった 「・・・し、・・しのぶっ・・・・・そ、そのっ・・・・・」 次の瞬間、 ----------ギュッ !?? 俺はしのぶに強く抱きしめられた 「友.....こうしたらあたたかい......? 寂しくない......?」 「・・・・う、うんっ//////」 「そっか......よかった....」 ・・・・・・・・・ 「.....あの.....しのぶ.....」 「....ん?...なに?」 「......今日は.....き、今日だけだからっ..... ......ず、ずっとこうしていてもいいかな.....?」 「.....うん....いいよっ....」 「.....ありがと....しのぶっ.... すごくあったかいよ.... もう.....俺は...寂しく....なんか....ない...やっ............」 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 「..............おやすみっ.........友っ..........」 次の日の朝、お母さんはオーストリアへとんぼ帰りしていった そして俺は、しばらく休んでいた小学校に再び行くことに決めた しのぶと二人で朝ごはんを食べた後、久々に二人で登校した 久しぶりの学校に着くと、悪口を言ってきたリュウが俺に謝ってきた 俺も彼を殴ってしまったことを彼に謝罪した 宿題も今まで通り(大体)提出するようになった 先生も元気を取り戻した俺を見て安心したようだ そして俺は今までどおりの生活に戻ろうとしていた ----------------------------------------------- 二年後 「友っ!!!!!!!!まだ寝てるの!? 早くしないと学校に遅れちゃうよっ!!!」 スマートフォン越しにしのぶの怒鳴り声が鳴り響く 「は、はいいいいっ!かしこかしこまりましたかしこおおおおっ~!!!!!」 俺は飛び起き、急いで学校の支度をする 俺は中学二年生になった 今はしのぶと一緒に御咲学園という男子校に在学している 友達も沢山でき、愉快な仲間たちに囲まれて幸せな日々を送っているところだ 今もお母さんは仕事で家に居ない時が多いけど、もう大丈夫。 俺にはしのぶもいるし、みんなもいる そんな大切な仲間たちがいるから、俺はもう寂しくなんてない しのぶ曰く、「友は昔と比べて本当に明るくなった」らしい(笑) 昔の俺ってどんなんだったっけ?(笑) えへへっ でもなんか嬉しいな♪ 小学生の時と比べて道のりは遠くなれど、今日も俺はしのぶと一緒に登校する 「.....あっ」 歩いている途中俺は何かを思い出したように立ち止まる 「...どうしたの友?」 「.....ちょっと寄っていきたい所があるんだ....しのぶも来る?」 俺はしのぶをつれてある場所へ向かう 「......そっか......今日はその日だったね」 「.....うん」 目の前に佇む大きな墓に水を注ぎ、菊の花を添える そして、俺としのぶの二人は手を合わせ、目を閉じ、祈る その瞬間、爽やかなそよ風がすーっと僕らの前を心地よく通り抜ける ・・・・・・・ 「・・・・・さっ、行こっか。しのぶっ」 「・・・・・うんっ」 俺たちはその場を去り、足早に学校へと向かう ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・俺は今幸せだよっ ・・・・・・ちゃんと見ててくれてる......? ・・・・・・ねっ?・・・・・・お父さんっ ----------------SCHOOL BOYS外伝 ~友 過去編~ ----------------END. 友くんの過去編という 本編ではまだ明かされていない部分を 蒼くんオリジナルで描いてくださいました! やさすぐれ友くん…。 …それはそれでいいですね♪ それにしても 本編の中でもあまり素材がない中 ここまでのお話を作り上げるなんて 本当に凄いと思いました! 蒼くん 素敵な小説をどうもありがとうございましたっ!!! ![]() [PR]
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Posted by
思わず泣きそうになってしまいました...!
いつものほのぼのとしたスクボも好きですけど、こういうダークで感動的な話もいいですね!(((o(*゚▽゚*)o)))
2014.05.13 Tue 20:21 URL [ Edit ]
Posted by 花粉症
小説楽しく拝見させていただきました!
友×しのぶはいいですね~ やさぐれた小学生時代があって今の元気でアホな友くんがあるとしたら、友くんに対する見方も変わってきますね さて霧也さんは友くんの過去をどう描くつもりなんでしょうか?w 期待して待ってます!!
2014.05.13 Tue 21:15 URL [ Edit ]
すごく感動しました Posted by
すごく感動しました(´;ω;`)友くんこんな辛い過去あったんですね。。。本当に悲しいです……
でも友くんが元気になって良かったです♪あとやっぱり漫画の方がいいなぁ〜w
2015.02.14 Sat 04:36 URL [ Edit ]
これが正史でも。。。 Posted by 名無し
四コマで所々出てくる友の過去のヒント(「色々あった」)や
しのぶが友を(ある意味過剰に)守ろうとする その理由をほとんど回収してると思います。これがもう公式でいいんじゃ。。。 特に空が4コマで指摘してた「ホテルの」くしの件なんか、 友がそれを持ち歩いてる理由は自分への戒めだと考えられるし。。。 ーこっから長いですー ただ個人的にはホテルで男にヤられることに気付いた友が 必死に抵抗して、そこで友の後をつけてたしのぶが警察を連れて部屋に押し入って、警察の取り調べがあって、「周りに迷惑かけた」。。。って展開のほうが (スクボ的にも)現実的かなー 正直、いくら精神的にまいってる状態でも、 「大人の男に犯される」 なんて小学6年の男子には耐えきれないし、当然トラウマもの、長期間のカウンセリング・リハビリがあったとしても元の生活・精神状態に戻れるかどうか。。。 もちろん、あれこれ言ったってしょーもないですけど。
2015.02.20 Fri 18:27 URL [ Edit ]
Posted by ひかる
感動的で思わず泣いてしまったwこんなに素敵な物語をどうもありがとう!
2017.04.03 Mon 22:34 URL [ Edit ]
Posted by ヒョンニム
これは世界線の一つ、ですかね?
「正史」ってものは存在しなくて、様々な並行世界が等しく存在する きりや先生公認の二次創作ということは、友の壮絶な過去にこういう世界線もある、ということなんでしょうね・・・
2020.05.28 Thu 01:45 URL [ Edit ]
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